ligne roset2018
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EGATROPER51文: アクセル・コルティ「家具の快適さを語る時は視覚的な快適さも語ります」とリーン・ロゼのクリエイション責任者であるミッシェル・ロゼ社長はよく口にします。会社の評判を築き上げてきたのは家具の品質や機能性だけではなく美への追求でもありました。「デザインには意味があり、社会的役割があるという考えが好きです。イタリアを中心に活躍したデザイナー集団、メンフィスのような大胆な考え方をもつデザイナーたちが1960年代頃からリーン・ロゼにどんどん集まってくるようになったのはこの信念によるものです。製品を作り上げていく過程で、我々は常に美の役割についてその製品に問いかけています。」この野心的なアプローチから生まれた作品は多くの博物館から評価を受け歓迎されました。例えば、1966年にベルナード・ゴヴァンがデザインしたモジュールタイプのソファ 「アスマラ」や2011年のロナン&エルワン・ブルレックのソファ「プルム」は芸術作品としてパリの装飾芸術博物館に展示されています。1970年代、ある広告会社のジャック・セゲラはリーン・ロゼの今後を予告するかのようなスローガンを考えました。「流行以上に最新のデザイン」。メイド・イン・ブジェー(本社と工場がある地域名)の家具は、何十年も長く使えるほどしっかり作られているだけでなく、最新の流行以上に時代を超えるようなデザイン性を持っています。このブランドの大胆な独創性は、例えば、フィリップ・ニグロのアシンメトリーなソファ「コンフルアンス」、あるいはナタリー・デヴェズの車のヘッドライトからインスピレーションを受けたテーブルランプ「カーライト」などを見ればすぐにわかります。しかし、リーン・ロゼは フランスの伝統的なデコレーションも大切にし、それを現代風に再現してみせます。例えば、20年以上前からリーン・ロゼのためにシンプルでエレガントな家具をたくさんデザインしているディジェ・ゴメズの作品はアールデコやルイ16世時代の家具にも調和するデザインです。また、2017年にデザイナーのエリック・ジョーダンはソファ「リーガ」をデザインし、伝統的なヴォルテールアームチェアを再解釈しています。ロゼ社はフランスの文化的遺産もイノベーションとデザインに結びつけようとします。それは2000年にデザイナー、ピエール・ポランとコラボレーションするきっかけにもなりました。ポランは1971年にポンピドゥー大統領夫婦のプライベートルームを改装したことで一段と世界的に有名になりました。彼は装飾芸術の歴史に精通していましたが、最新の革新的な技術や機械、素材に常に強い関心を持っていました。ブリオードの工場の新しいウレタンフォームや伸縮性のある斬新なファブリック、そして製造ノウハウに興味を持ち、ポランとロゼ社とのソファ開発が始まりました。ロゼ社では、エリーゼ宮殿のためにポランがデザインしたソファとテーブルを「パンプキン」と「エリーゼ」の名前で復刻版として発表し、1959年にデザインされたアイコン的なモデル「マッシュルーム」を再解釈し、「アンダ」の名前で発表しました。ピエール・ポランは2009年に逝去しましたが、その後も誰もが認める装飾芸術の偉大な人物として歴史に名を残すことになりました。2016年にはパリのポンピドゥーセンターで彼の生前の作品の回顧展が行われました。彼の作品はまだ生きており、芸術市場ではまだ動いています。リーン・ロゼは、ポランの遺族の協力を得て彼のいくつかの家具を再解釈しながら復刻版として発表し続けています。例えば、1953年にデザインされたダイニングチェア「TV」とソファ 「デイベッド」も近年に復刻版としてリーン・ロゼから発表されています。また、1980年代にデザインされ、木工職人の伝統的で匠な技術があったからこそ作ることができたチェア「クルル」は無垢材のビーチとウォールナットで復刻版が発表されています。エリーゼ宮殿でのフランスの伝統的な装飾の改装は、美と産業のイノベーションによって完成し、ポランの歴史的な仕事となりました。ポンピドゥー大統領夫婦は「持続性の中の変化」という彼らの信条を具現化するためにポランを選んだのです。リーン・ロゼは、現在、コンテンポラリーな家具をたくさん製造できるフランス国内唯一の会社として、この「スタイルのイノベーション」を繰り返しながらデザインを未来へ繋いでいます。フレンチスタイルの中心 にて

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