

今回のエッセイコンテストは応募数も多く、また大変レベルの高い作品が集まり、審査員一同、大きな喜びを持って審査にあたりました。
大分県在住のA・Mさんのグランプリ作品『父がゆく』は、定年退職後、今後の人生に夢を持つ気力もなくなった著者の父親が、家のリフォーム作業を通して、新たな生き甲斐をみつけた様子が描かれています。軽妙なセリフ回しや、笑いを誘う描写の中に家族の愛が滲んで、とても魅力的な作品に仕上がっています。
準グランプリ、S・Iさんの『インテリア1年生』は、『父がゆく』と、最後の最後までグランプリを争った作品でした。まず素晴らしい文章力、表現力、そして家具選びを通して知った夫の新たな一面、噛み合わない夫婦の対話などのエピソードが、読み手をぐいぐい引き込んでいきます。「夫と真正面から向き合わない」ことが、「意外にも楽に話せる」ことに気づいたくだりなども、家具が人の意識に影響を与える......という大切なテーマが自然に表現されています。
もうひとつの準グランプリ、S・Yさんの『理想のわが家』は、オリジナリティ溢れる洒脱な文体、視覚的な表現が大変魅力的で、短い文章の中に「S・Yワールド」を見事に展開させていました。
佳作に選ばれた7作品も、いずれも個性豊かな味わい深いものばかりでした。審査を通して感じたことは、どの応募者の方も文章に力があること。エッセイ部門は、2008年の「第2回インテリアデザインコンテスト」からスタートしましたが、その頃に比べ、格段にレベルが上がった印象がありました。テーマ、表現力、構成力いずれもプロをうならせるでき映えで、どの作品にも賞を差し上げたいというのが、正直な感想です。今回、作品を寄せてくださった多くの方々に、審査員一同心より感謝いたします。
リーン・ロゼ日本発売30周年記念