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Le design japonais qu’aiment les Français, Part Ⅴ

フランス人が好きな日本のデザイン その5

前回に引き続き、DIGITAL DAYS – JAPANESE LIFESTYLE というキャンペーンの「ジャパン・デザイン・デイズ」第3日目(最終日)を紹介したいと思います。それでMaison et Objetのキャンペーの最後のご報告となります。

Day 3(第三日:2月16日)

The art of hospitality(おもてなしの芸術)というキャッチフレーズで紹介されています。

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Parce que « recevoir » est un art où rien n’est laissé au hasard. Les plus belles marques japonaises vous invitent à découvrir toutes les spécificités de cet accueil, où chaque détail compte. Bienvenue au pays du soleil levant !

日本では、「おもてなし」というのはまさに「生きる芸術」だと言えます。日本の一番優れたブランドは、ホスピタリティーを細部までこだわるこの国の特質をお客様にお届けします。日出づる国へようこそ ! (フランスでは日本はよく「日出ずる国」という名称で紹介されていますが、日本ではそれほど頻繁に使われていないようです)

「いただきます」という表現も、そのままitadakimasuの日本語の言葉として紹介されています。日本の「おもてなし」の習慣はまさに伝説的で、日本で滞在した観光客やビジネスパーソンは異口同音に言うのは、日本人のホスピタリティーの高さです。そこで、和食が2014年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことも関係しますが、日本のhospitalityとはもっと幅広く使われ、料理のクオリティーはもちろん、ショップや飲食店でのサービス、洗練された宿泊施設、そして人々の親切さと丁寧さを表現しています。

それに対して、フランスは一番観光客の多い国ですが、カスタマーサービスやフランス人の外国人に対する態度には、不満を感じる人々が多いようです。つまりフランス人は自国の伝統や文化を誇りに思っていますが、それを海外から来る観光客に対して、特にアピールして守っていく必要性をあまり感じていないようです。

ロゼ社の皆さんも、経営者、デザイナーを問わず、日本へ旅行するのが大好きで、毎年のように「今年も日本行きたいのですが、何かイベントがありますか」と聞かれます。コロナ禍で国境が閉鎖されてしまったのは、皆さんにとって大変残念なことで、次の日本への旅を楽しみにしているようです。それはまさに「日本のおもてなし」の文化のおかげだと思います。

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「おもてなし」の商品セレクションは、前回の商品と少し違って、飾り物やオブジェではなく、日常生活で使われているアイテムを紹介します。例えばグラスや食器、鍋物などです。日本人にとってはごく普通のものかもしれませんが、フランス人にとっては、どのものでも形や素材も新鮮で、魅力を感じています。日本の商品は丈夫で、耐久性に優れていることでも知られています。日本製の商品の品質の高さは、日本のお客様の厳しい要求に対応できるように開発され、それは西洋でも十分に評価されています。

今回のセレクションのコンセプトは、M+Oでは詳しく紹介されていませんが、カタログリンクなどが提供されており、ホームページで調べることができるようになっています。驚いたことに、どの商品の解説でも、作っている会社のホームページでは、ちゃんと英語版も掲載されています。日本の企業が、ますます海外へも進出しようとしていることの証拠でしょう。

1. Toyo-Sasaki Glass

皆さんもご存知かもしれませんが、Toyo-Sasaki Glass(東洋佐々木グラス株式会社)は明治時代に創業され、現在日本の一番大きいグラスメーカーです。その商品コレクションはとても幅広く、様々な革新的な商品も開発しています(例えば2008年には世界初の強化クリスタルグラスが開発され、商品化されました)。色々な特許も取得しているようです。

技術革新と同時に、日本の伝統を継承する「江戸硝子」という商品も販売しており、それは経済産業大臣により国の伝統的工芸品としての指定も受けています。デザイン業界にも高く評価され、2017年にグッドデザイン賞「ベスト100」に選ばれた商品もあります。そしてオーダーメイドの商品も開発できる、素晴らしい会社です。

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M&Oがセレクトした画像に載っている小さいカラフルなグラスは、とても可愛くて美しく、自分でも欲しくなりました。私の家族は、ワインやお酒を飲むのは趣味であり、美しいグラスでいただくともっと美味しくなると思います。

東洋佐々木グラスホームページには、会社の歴史など、様々な情報で充実しており、その商品コレクションの幅広さと豊かさに驚きました。

https://www.toyo.sasaki.co.jp/company/

この「老舗」としても言える会社の長い歴史はとても興味深いと思います。つまり明治時代の文明開化と産業革命を表現し、日本が近代国家として台頭してきたことを象徴しています。当時の創業者はイギリスでのグラス製造技術を勉強し、それを日本国内に普及してゆき、ヨーロッパの最新技術と江戸時代から継承してきた伝統的技術を融合することに成功しました。

このような企業は日本には少なくなく、日本の文明史・社会経済史の大事な一部となっています。日本は西洋と競争してきましたが、西洋の技術を輸入しながらも、「日本の伝統と魂」を守ることができ、それは明治時代に生まれた名言「和魂洋才」によっても表現されています。

2. Lino e Lina – Home linen and Linen Wear

Lino e Linaとは、ホームファッションとファッションウェアを販売している会社で、麻(リネン)の素材を生かしています。エプロン、テーブルクロス、ショッピング袋、帽子、スカーフ、ベッドリネンなど、ホームページを見ると、様々な商品を提供しています。

そこで目立つのは麻の柔らかくて鮮やかな色です(パステルカラー、ピンク、グレー、ブルーなどが多いです)。製造はリトアニアで行われているようですが、日本のデザインや色彩感覚を見事に表現していると思います。

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例えばMaison et Objetがセレクトしたテーブルクロスのグレー色は地味ですが、色の感覚は深く、白い食器とのコントラストを作ってくれることもあり、とても魅力的に感じます。ある意味で、日本の「わび・さび」の精神を表しているように思います。

リネンはフランスでは最近とても人気が高くなっています。洗えば洗うほど、柔らかくなるのが特徴で、使えば使うほどきれいになるというのも、高く評価されています。そして麻からできた服は、日本の暑い夏でも気持ちよく着られる、涼しさを与えると評判がありますが、温暖化でますます暑くなっているフランスの夏もまさに同様で、夏のファッションにも良く登場します。

https://www.linoelina-jpn.com/fr/#Products

3. 4th-market

4th-marketは三重県の四日市市にある陶磁器メーカーで、江戸時代に生まれた萬古焼を専門にしています。4th-marketの職人たちは、美しく、かつ実用的な日常使いの陶器を作ることを目的にしています。そして、その陶器は時間が経つにつれて、毎日使うことでより美しくなっていくのです。それこそが日本的な考えだと思いました。萬古焼の中には、例えば耐熱性に優れた土鍋、そして日本の伝統工芸品として知られている急須が一番有名だそうです。

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M+Oがセレクトした小さい白い鍋(キャセロール)は本当に可愛いと思いませんか? 西洋ではあまり見当たらない形です。調理用ですが、テーブルウェアとしても使えるほど魅力的だと思います。まさに、目で食べられるように、食事も食卓も美しくする、という「日本のおもてなし」を表しています。

https://4th-market.eu

4. ONENESS

ONENESSも日本有数の陶器メーカーで、特に耐熱性のあるオリジナルのシチューポットは有名です。毎日使う食器だからこそ、直火はもちろん、オーブンや電子レンジ、食器洗い乾燥機にも対応しており、説明書には「日本の伝統的なレシピはもちろん、ヨーロッパの料理にもお使いいただける」と書いてありました。

連載コラム写真

そのデザインの特徴は自然からのインスピレーションを受けていることです。例えばこの画像に掲載されているポットに熊の形のハンドルがあり、とてもオリジナリティのある新鮮なデアインだと思いました。

https://mom.maison-objet.com/en/brand/14125/oneness

このように、メゾン・エ・オブジェが選んだ日常生活に使われるグラス、食器や鍋類もとても美しくて品質が高く、日本の「おもてなし」の伝統をコンテンポラリーなライフスタイルの中で表現しています。食文化のレベルの非常に高いフランス人にとっても、十分なアピールを持つことは興味深く、日本人にとってごく普通なものも、ウェブサイトにも大きく取り上げられているのが印象的です。

これでMaison et Objetの「ジャパン・デザイン・デイズ」の報告を終了させていただきます。私にとっては、このキャンペーンのおかげで、今まで知らなかった日本のブランドや製品、生産技術に出会うことができ、とても楽しくレポートすることができました。どんなブランドと商品でも、それぞれの特徴と魅力があると思いました。

ヨーロッパでは必ずしも簡単に手に入るものではないので、次回日本へ旅行する際に、一番気に入ったものをデパートやショップで探して、買いに行こうと思っています。私にとって、それらの商品は単なるプロダクトではなく、日本独自の哲学、歴史、美的意識、技法、そして「生きる芸術」を表現していると思います。日本の皆さんには、今より以上、日本のデザインと技術を誇りに思い、ますますヨーロッパで展開していただきたいです。

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