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「ベッドを中心とする生活」のご報告の続きです。
前回は、ベッドで仕事や勉強する習慣が増えているとお伝えしました。ベッドで小説を書いた有名な作家も何人かいます。彼らにとってはリラックスした姿勢がインスピレーションや創造性を高めてくれるそうです。マルセル・プルースト、コレット、トルーマン・カポーティなど、多くの作家が作品をベッドで書きました。トルーマン・カポーティは「寝転がっていないと考えることができない」という言葉を残したそうです。
イギリスの女性作家スーサン・タウンセンドは「ベッドで過ごした一年」という小説を書きました(一年間の間、ほとんどベッドを離れなかったようです)。そして、フランス人の女優のアジア・アルジェントが、病気で動けなくなったときに、作曲したアルバム「ミュージック・フロム・マイ・ベッド」もあります。ベッドは休む場所だけでなく、クリエイティビティーを促進する空間になるのですね。
しかし問題もあります。専門家によれば、ベッドの上で様々なことをしていると、寝られなくなる場合もあるようです。仕事、食事、電話……など、全て横になったままで行うことは、逆に睡眠を妨げることもよくあるようで、どこかでバランスが必要でしょう。
フランスの女性作家のコロンブ・シュネック氏によれば、 「ベッドで仕事をすると睡眠に影響があることに気づき、リビングルームにソファではなく、セカンドベッドを設置しました。それが私の職場です。そして、寝室に置いているのは寝るとき用です」。ベッドを増殖させよう!それが解決策だ、と主張しています。ベッドを2台使おう、という概念も面白いですね。
ベッドに関しては、もう一つの興味深いトレンドがあります。ベッドは一人で楽しむことだけでなく、「社交の場」にもなり得るのです。例えばフランスでは、ティーンエイジャーの間では、5~6 人の友人を寝室に招く「パジャマ・パーティー」が急増しているようです。
私自身、小さい時に、パジャマ・パーティーに行ったことを覚えていますが、それは小学生のころで、その習慣が最近若者の間に蘇ってきたことで驚きました。フランスのある児童精神科医は、「パジャマ・パーティーの現象は20年前には存在しませんでした。若者はスクリーン(動画配信)のせいで家にいることが多くなったこともあり、それなりにベッドも生活空間の一部になっています。そしてその空間を友達と分け合うことですね」と、語っています。 (次号に続く)