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皆さん、お元気ですか?
スイスはとても寒い日々が続いており、今回の冬は比較的厳しいと感じていますが、日本はいかがでしょうか?
実は今回は、少しプライベートなテーマについてお届けしたいと思いました。それは、今年の1月に、家族と日本を旅行したことについてです。
実は、私は東京の学習院女子大学にゲスト公演を頼まれ、招待していただきました。それを機に、せっかくのチャンスを掴んで、家族も連れて行こうと思い、思い切って、ファミリー旅行をすることになりました。
夫は日本で生活したことがあり、日本を知っていましたが、息子はまだ日本へ行ったことがなく、初めての日本訪問になりました。彼を日本へ連れて行くのは私の念願の夢で、やっとその夢が叶いました。
家族全員にとって、素晴らしい、かけがえのない旅行になりました。観光のみならず、ドリームベッド社のメンバーと日本に住んでいる家族と友人たちに暖かく歓迎され、日本との繋がりがいかに深いことであるのか、実感できました。そして私はその日本との繋がりを息子に継承できたのは、母親としての最高の喜びでした。
ですから今回は私的なお話になりますが、皆さんにもその貴重な経験をお伝えしたかったのです。
今回の旅行のスケジュールは、1/10~1/20まで東京に滞在し、それから1/20~1/22まで京都、1/22は城崎温泉、1/23は大阪経由で広島へ、そして1/23~1/26までは広島に滞在しました。1/26は成田空港に入り、翌日は帰国しました。
訪れた様々な場所と経験について、写真を入れながらご紹介したいと思います。
しかしまずは、ウクライナ戦争の影響で、ロシア領空が飛べなくなってしまったため、日本までの移動時間が非常に長くなってしまったということです。パリやチューリッヒからの直行便がありますが、それはとても高く、もっとリーズナブルな南回りの便にしました。つまりETIHAD航空で、アブ・ダビ経由となり、乗り継ぎの時間が数えたら、24時間近くのフライトになりました(ジュネーブからアブ・ダビまでは約7時間、アブ・ダビで3時間滞在、そしてアブ・ダビから東京成田まではさらに12時間、つまり合計は22時間)。
家族と一緒だったので、なんとか楽しく過ごしましたが、生まれてから一番長い移動で、その疲れも、時差ぼけに加えて、取れるまでにたくさんの時間がかかりました。しかし、素晴らしい日本滞在となったので、長時間のフライトにもかかわらず、十分な価値がありました。そして戦争やコロナ禍など、様々な深刻な問題が起こっている時代であるにもかかわらず、日本へ旅行できたことだけでも、とても有り難く感じました。
コロナの問題で、日本の入国手続きはまだやや複雑ですが、Visit Japan Webという入国のための専用サイトで事前登録ができて、楽になりました。
(https://vjw-lp.digital.go.jp)
そのサイトでは、検疫手続き(ファストトラック)、「入国審査」、「税関申告」をウェブで行うことができて、成田に到着したら、事前登録によりもらったQRコードを見せるだけで入国手続きが済みました。
しかし成田に到着したら、まず日本はまだみんながマスクを着用していることに驚きました(ヨーロッパではマスク着用がほとんどなくなりました)。それは日本政府の指定によるものではなく、日本人のマスクに対する考え方を表しているようです。成田空港で日本の厚生省のマスク着用についてのガイドラインが入国者に配布されましたが、それによれば、屋外はマスクの着用が不要で、屋内は、距離が確保でき、会話をほとんど行わない場合を除き、マスクの着用は「お願いします」とのことでした。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html)
それにも関わらず、日本では屋外や屋内でも、食事の時以外は、みんながほとんどいつもマスクをしていました。最初は少し不愉快な感じでしたが(実は、スイスやフランスでは、マスク着用が嫌われ、誰もその使用に戻りたくない雰囲気です)、日本の皆さんに合わせたら、すぐ慣れてしまいました。
マスクをしていない外国人がかなり多いことに気が付き、彼らには「日本人のマスク着用は大袈裟で不要だ」という考えがあるようですが、私たち家族にとっては、日本の習慣に合わせるべきだと思い、嫌でも好きでもかまわなく、日本人と同じようにすべきだと思いました。
コロナ禍で、日本が変わったと思いますか?と友達に聞かれました。確かに、普段との雰囲気と少し違う、と感じました。それはマスク着用のみでなく、東京は特に、普段より人が少なく、その行動・歩きも以前より少しゆっくりとなったような感じがしました。東京はいつもごちゃごちゃしている街でしたが、もう少し落ち着いた雰囲気になったような印象を受けました。
観光客が少ないこともあり、どこへ行っても、並ばなくても入れるし、観光ブームの前の日本(つまり10年前ぐらい前の日本)の雰囲気が思い出されました。実は、今の日本はとても気に入りました。ペースとスピードを落とし、消費も少し抑えている感じでした。
私は家族より3日間早く東京に入り、学習院女子大学でのシンポジウムに参加し、ゲスト講演を行いました。そのテーマは、「ジュネーブ大学における日本のジェンダー研究について」の報告でした。そこで、日本の女性はどの分野で活躍しているのか、家族、教育と職場の三つの場面において分析したものでした。
多くの学生の皆さんと先生の方々が参加してくださり、講演の後ディスカッションもあり、とても充実した経験になりました。そして私にとっては、日本の女子大学を訪問したのは初めての経験で、その仕組みやコースのカリキュラムについてさまざまなことを学ぶことができました。スイスやフランスには、女子大学という教育プログラムがありませんので、そのことについてジュネーブ大学の学生にも伝えたいと思います。 (次号に続く)